いつ頃かな

去年、16年一緒にいた最愛の猫が病気になった。

何をしても事態は好転せず、今年の1月、最愛の猫は逝ってしまった。

 

猫の使っていた物が視界に入るのが悲しくて早々に片付けてしまった。

我ながら薄情すぎると思ったけれど、どうしてもつらかった。

 

何を見ても、部屋の中にいた猫の姿を思い出してつらくて

模様替えをしたりしてみた。

 

何しろ16年間、24時間365日、ずっと一緒にいた子だった。

お風呂にもトイレにもついてくる子だった。

夕方私が台所に立って食事の支度を始めると、熟睡していたはずなのに

一緒に台所についてきて、背後の棚に座って、何をするでもなく

私が食事を作るのを只々眺めて、作り終えたら一緒に台所から出てきて

一休みする私の膝の上でまた眠る…そういう子だった。

 

そんな日が一日でも長く続きますようにと願っていて

猫の寿命は年々伸びていて、20歳まで生きてくれる子も

昔に比べたら格段に多くなってきた、と聞いて、

どうかうちの子も20歳まで生きるご長寿猫の仲間入りをしてくれますように

と願っていた。

 

なのに。なのに。

 

元々、複数の持病を抱えていた子で、獣医さんは

「この病気を持っている子の中ではすごく長生きの子だ」と

慰めてくれたけれど、それはとてもありがたく思うけれど。

 

それでも、とどうしても思ってしまう。

その反面、猫には感謝しかなくて。

 

病気なのに、頑張ってくれてありがとう。

つらい治療を受けさせてごめんね。

我が家に来てくれてありがとう。

ずっと一緒にいてくれて、ありがとう。

と思う。

 

でも、猫の不在がどうしてもつらい。

時間が経つにつれて、徐々につらい気持ちは薄らいで

感謝の気持ちになっていくのだと思っているけれど、

そろそろ一年経つのに、つらくて悲しい気持ちは増すだけで

ちっとも薄れてくれない。

 

毎日毎日、悲しくて寂しくて、ボロボロ泣いてしまう。

 

一緒に暮らしている家族は割と普通そうに見えるけれど

きっと同じくらい悲しくて寂しいんだろうと思って聞いてみたら

「寂しいのは勿論だけど、毎日しょっちゅうではないかな…?」

とすごく遠慮がちに言っていた。

(きっと未だに毎日悲しい悲しいと泣く私に遠慮をしたのだと思う)

 

元々、猫や犬が大好きで、小さい頃から何かしらの動物達と一緒で

家に動物がいない時期がないような家で暮らしてきたので

その所為もあるのか、と思い、初めて猫カフェにも行ってみた。

 

スタッフさんもお客さん達も皆良い人ばかりのようで

猫が嫌がるような振る舞いをする人は一人もいない

居心地の良い空間に保護猫が大勢いて、ゆったり過ごしていて素敵な店だった。

 

愛猫に瓜二つの猫もいて、驚くくらいフレンドリーに接してくれた。

規定の時間はあっという間に過ぎて、お礼を言って外に出て

自分の車に乗り込んだ時、涙が溢れた。

 

違う。違った。

どの子もすごく可愛くて、良い子ばかりで、とても良い空間だった。

とても癒された。

 

けど、私の大好きなあの子は何処にもいなくて、

そんな事は分かり切っていた事だった。

 

あの子のいない空虚な気持ちは、あの子でないと埋められない

と思い知っただけだった。

私は、この先、一生悲しくて寂しいんだ。

 

どうすればいいんだろう。

私、この先、どうすればいいんだろう。

 

悲しくて寂しくてつらいのが薄らいでくれるのは、いつ頃だろう。